3年ぶり、4枚目のオリジナル・アルバム。大橋卓弥はソロ作『Drunk Monkeys』の発表後に全国ツアーを敢行し、常田真太郎は映画『DIVE!!』のサントラや他アーティストのプロデュースを手掛ける、という具合に昨年はそれぞれのソロ活動を展開していた2人だが、ポップ・ユニットとしての結束力はより強固になった印象だ。
アレンジャーが常田で、シンガーが大橋。本作はこれまでのそうしたシステマティックな分業制を捨て去り、互いがガチンコ勝負した作品だという。だがそこに不協和音はない。例えば、ピアノ・ロックにブラスが絡むファンキーなM-1が、男女のストーリーを描いているようでいて実は大橋と常田自身の関係性をダブらせていたり、2人のソング・ライティングそのものをテーマにした穏やかなポップ・ソウルM-10があったり、スキマスイッチの在り方をポップなクリエイティビティで再確認している様が痛快なのだ。温かいローズ・ピアノの音色とエレクトリックなファンクが不思議なマッチングを見せるM-3、ジェイムス・テイラーを思わすカントリー・タッチをバックに日本語ながら節回しが英語に聴こえるM-4、ミスチルとウォール・オブ・サウンドの融合めいた音に出来過ぎな歌詞が載ったM-5、ムーディでジャジーなソフト・エロのM-8など、新機軸な曲も多い。中でも凄いのはカッコいい打ち込みR&Bサウンドなのに、歌詞はデザイナーズマンションの間取りを延々と語っているだけ、というトボけたM-6。こうした遊び心が横溢した曲が入っているからこそ、淡々としながら感情が爆発するM-7や、彗星に思いを馳せる青年をオーケストレーションが導く壮大なM-9のような必殺ナンバーがより活きてくるのだ。
億や兆を越え、共に無限大に近い数字を意味するナユタとフカシギ。言うまでもなくそれは大橋と常田のことだろう。互いが巨大な才能を持ったポップ・ユニットの未来はまだまだ明るく光るのだ。(青雪吉木)